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農業通じ社会復帰支援 県内外から3カ月間受け入れ 新規就農、移住に期待 和歌山県が来年度

 和歌山県は2021年度から、うつ病や引きこもりなどメンタルヘルス(心の健康)に悩んでいる人に農作業を手伝ってもらい、社会復帰につなげるプログラムを始める。県内外から約3カ月間受け入れ、生産者とのマッチングや作業の実施は専門機関が支援する。農業で心の健康回復を後押ししながら、移住者や新規就農者の確保にもつなげる。

 県によると、農作業で社会復帰を後押しする事業に都道府県単位で取り組むのは全国的にも珍しい。プログラムの利用者は全国から募集する。

 3カ月ほどでの回復を想定するが、受け入れ期間は生産者の希望を反映する。受け入れ可能な生産者を県がリスト化。生産者への仲介や作業の実施期間中の支援などは、メンタルヘルスケアに従事する専門家に担当してもらう。会社などへの復帰を支援しながら、農作業を続けたい希望者には県内での就農や移住を促す。

 21年度当初予算案に2550万円を計上した。今後、医療機関などとも連携して事業を周知。プログラムの利用料は無料で検討する。県は「心の健康の回復には発症の原因となった環境から一度離れてもらうことが重要。受け入れが不安な農家をサポートし、労働力不足の解消にもつなげたい」(障害福祉課)と話す。

 厚生労働省によると、精神疾患の患者は17年で約419万人。園芸療法を研究する近畿大学の林孝洋教授は「薬物療法やカウンセリングだけでは限界がある。心を安定させるセロトニンの分泌や昼夜のリズム回復には日光浴と運動が効果的で、農作業は回復に向けた条件を十分に満たす」と指摘する。