就農を知る

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[未来人材プラス] 元彫刻家 有機質肥料こだわる 毎年若手を雇い指導 広島県廿日市市 遠藤章人さん(39)

 広島県廿日市市の遠藤章人さん(39)は、有機質肥料をふんだんに使い、ジャガイモとニンジンを栽培する。元彫刻家という異色の経歴を持ち、13年前に移住。向き合う相手を“石”から“土”に替え、農地10アールから栽培を始めた。宅配や加工品販売でファンを獲得し、今は3ヘクタールに拡大。指導する立場となった今も地域の担い手の一人として活躍する。

 新潟県横越村(現新潟市)の兼業農家に生まれた。高校卒業後は彫刻家を目指し、上京。埼玉県で私塾に通学後、アルバイトで生計を立てながら創作活動に励んだ。

 思うように創作が進まず、24歳で今後を考えたところ、幼い時から身近で、いつかは挑戦したいと考えていた農業に注目した。

 子どもに食物アレルギーがあり「安全・安心な食べ物を自分で作りたい」との思いもあった。有機農業が盛んな埼玉県で1年半研修。2008年に26歳で、妻の実家がある広島県廿日市市で就農した。

 屋号は「満月農園」。少量多品目で野菜を作り、土地や気候に合う品目を探した。「いつでもやめてやる気持ちで、がむしゃらに取り組んだ」と振り返る遠藤さん。目の前の作業に打ち込み、自分のスタイルを築いた。

 農薬全般を使わず、有機質肥料にもこだわる。米ぬかやもみ殻、魚粉などを含むぼかし肥料は自家製で、土にすぐになじむ。品目もジャガイモとニンジンに絞り、栽培する。21年産は約3ヘクタールで、宅配や産直、学校給食向けに販売する。

 ジャガイモはチップスに加工し、「満月チップス」として販売。オープン価格500円と割高だが、人気だ。多い年は4万袋(1袋145グラム)を売り上げる。全量を加工していたが、新型コロナウイルス下で20年産はリスク分散で青果販売もした。

 毎年、1、2人の若者を雇い、指導する。高齢化が進む地域の盛り上げに奮闘する。