新規就農者

[未来人材プラス]花の世界で生き残る ホオズキ産地の若夫婦 先輩農家に見守られ 大分県佐伯市・渡邉健太郎さん(28)

 大分県佐伯市の渡邉健太郎さん(28)は福岡県からUターン就農し、妻の愛子さん(28)とホオズキやスイートピーを42アールで栽培する。ホオズキの生産量県内有数の伝統ある産地で約20年ぶりの若手農家として、地域に見守られながら農業に励んでいる。

 2人が暮らすのは、この地でニラ農家を営んでいた健太郎さんの祖父母の家だ。7月上旬以降は盆向けの出荷のため、自宅横の倉庫でホオズキの調製作業に明け暮れる。ひとシーズンに2万本をJAへ出荷する。

 健太郎さんは佐伯市の高校を卒業後、福岡県の大学に進学。卒業後は県内の企業に営業職で就職した。24歳の頃、祖父の訃報が届いた。1人になった故郷の祖母を思ううち、地元に戻る選択肢が出てきた。

 「自分は田舎の生まれ。地元の方が肌に合う」。職業として農業を選んだのは自然な流れだった。健太郎さんの申し出に愛子さんは「一緒にやるなら花がいい」と応えた。「深く考えていなかったけど、楽しめそうなものがよかった」と振り返る。

 市が運営するファーマーズスクールに夫妻で入学し、2年間、花き農家の下で学んだ。就農後、水や温度管理に繊細さが求められるスイートピーには特に苦戦した。「先輩農家と自分の畑では水はけから何から全部違い、試行錯誤の繰り返しだった」と健太郎さん。ホオズキは病気でハウスの半分が枯れてしまうこともあった。

 農業を始めるとき、こだわったのは「2人で作業を完結できる」やり方。早朝の収穫から調製までほとんどの作業を2人でこなす。雇用に頼らず身の丈に合った経営をし「今後、花の市場が縮小しても生き残りたい」と意気込む。

 道沿いに建てたハウスには、先輩農家が通りかかるたび、声をかけアドバイスをしていく。この地で農業を続ける大きな後押しになっている。

 

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