新規就農者

[未来人材プラス]母国と橋渡し夢見て スリランカ出身、憧れのアスパラ農家に 奈良県明日香村・亀谷ウダーラさん(39)

 奈良県明日香村でアスパラガスを中心に多品目栽培をする亀谷ウダーラさん(39)は、村で唯一の女性新規就農者だ。困難と闘いながら、耕作放棄地の解消と自身の夢に向けて奮闘する。

 ウダーラさんは東アジアの島国・スリランカ出身。母国と日本の橋渡しがしたいと来日し、留学生として勉学に励んだ。

 就農は2017年。結婚と出産が転機となった。子育てと両立できる仕事を探していた時に勧められたのが農業だった。最初は抵抗があったが、まずやってみようと県農業大学校の研修に参加。そこで訪れたアスパラガス農家のハウスに青々と茂る親株を見て感銘を受け、就農を決意した。その後は、村と県の協力を得ながら準備を進めた。県の支援事業を通じ農家で1年間研修。「アスパラガスだけだと農閑期が長いし、農家レストランも挑戦してみたい」と多品目栽培を学んだ。

 住居は「空き家バンク」で見つけた。農地は村が紹介。所有者の規模縮小のため空いてしまった2筆(計30アール)を借りてアスパラガスと、ツルムラサキから始めた。資金面では、国の農業次世代人材投資事業を活用。ハウスは国の助成を、農機は村の助成を受けて手に入れた。2年目には耕作放棄地の1筆(10アール)を借りて経営拡大。ブロッコリーやタマネギにも挑戦する。

 当初は人手が足りず、就農者を支援する「明日香村地域振興公社」に耕うんを委託し、農地を整備してもらっていた。同公社が手配するトラック便で県外の阪急オアシスなどにも出荷する。農産物に加え、加工品のスリランカカレーも好評で、東京のアンテナショップでも取り扱う。

 就農から5年。成果も実感するが困難も多い。今は水の確保に苦戦中だ。「農業なんてやりたくなかったし、しんどいことは今も正直ある。でも農業が好きだからやめたいとは思わない」。ウダーラさんの挑戦は続く。

 

ウダーラさんが研修を受けた、奈良県の農業新規参入者支援事業の募集ページはこちら。

https://www.pref.nara.jp/39870.htm