新規就農者

[未来人材プラス]安定と信頼へ着々と 小松菜と出合い稼げる農業を実現 鹿児島市・藤田賢さん(35)

 「やった分だけ成果が自分に返ってくる」。鹿児島市で小松菜50アールを作る藤田賢さん(35)は、農業のやりがいを語る。12年前の就農から栽培面積を2・5倍に増やすなど地道に努力を重ね、現在は当初掲げた目標であるサラリーマン並みの所得を上回る。農業で稼げる経営を実現する。

 大学卒業後、福岡市で営業職に就くが、長い拘束時間や頑張りが反映されにくい給料などに違和感を覚えて23歳で退職。「稼ぎたい」との気持ちを抱え故郷の鹿児島市に帰り、農業を営む実家の近くで独立就農した。

 経営が軌道に乗った理由を「自分に合った野菜を見つけたこと」と話す。小松菜は、研修や周囲のアドバイスを経て出合った。

 就農前に市の都市農業センターや県立農業大学校で研修し、果菜類や水稲などさまざまな品目の生産を学ぶ。その中で作業が比較的単純な葉野菜が良いと考えた。1日に何ケース収穫できて、ハウス1棟の収穫で収入がいくらになり、年に何回転できるなど、計画を立てやすい。

 就農後はJA鹿児島みらい軟弱野菜生産部会(通称・優ラ良)に所属する。初めは水菜を中心に作ったが、営農指導員の勧めで選果作業の負担が少ない小松菜へ転換。作業を効率化できた。藤田さんは「身近な食材で、品種が多くて工夫できるのも面白い」と良さを強調する。部会の仲間からハウス開閉のタイミングなど技術を教わり、目標となる先輩を見つけるなど成長の糧にする。

 桜島の降灰で品質の低下や出荷量が減り、悔しい思いをしたこともあったが、2020年には念願の灰が入りにくい連棟ハウスを新設。自動で袋詰めできる機械を導入するなど効率化を図る。

 10年後の夢は「胸を張って小松菜農家と言えるようになること。生産を安定させ、ここに来ればいつでも小松菜があると信頼されたい」と歩みを進める。

 

藤田さんが学んだ「就農・就業チャレンジ研修」など研修情報を掲載している鹿児島県立農業大学校のウェブサイトはこちら。

https://www.pref.kagoshima.jp/ag25/nodai_hp.html