新規就農者

[未来人材プラス] 東日本大震災機に就農 法人で作業効率学ぶ ショウガ拡大も視野 宮城県東松島市 登坂寛さん(40)

 宮城県東松島市でナスやショウガなど栽培する登坂寛さん(40)は、千葉県から移住して新規就農した。東京都内の飲食店に勤務していたが、東日本大震災を機に移住を決断。農業法人で勤務した後、独立就農した。栽培品目の規模拡大などを検討し、経営安定を目指す。

 茨城県出身で就農前は飲食店で働き、以前から食の重要性について考えていた。大震災で混乱した都会の姿を目にした。「いざというときに東京は危険だと感じた」と、決断の経緯を振り返る。一方で、宮城県は震災の被災地だが、住民の災害への心構えがあるため住むことに安心感があった。

 飲食店を退職し2016年、日本農業実践学園に入学。トマトやサツマイモなどの栽培管理を学んだ。その頃から宮城への移住の検討を始めた。「米どころのイメージだったが、多様な園芸品目を作っていた。降雪量も少なく、関東と気候はあまり変わらない」と理由を説明する。

 同学園で1年間学び、17年10月に東松島市にあるイグナルファームに就職。ネギの栽培管理などを経験した。

 一方で、多品目の作業を手伝うなど法人だからこそ経験できたこともあった。「柔軟に作業をすることを法人で覚えた」と話す。

 19年に独立就農。農地は、ファームがネギを栽培するため以前借りていた土地を、地権者から登坂さんが改めて借りた。現在は露地でショウガ35アールを栽培するほか、ハウス22アールで夏にナス、冬にホウレンソウを栽培する。

 今後はナスを周年出荷するか、東北では生産が少ないショウガの栽培面積を増やすかなど、さまざまな選択肢を検討している。

 特にショウガは夏場の土壌管理を怠らなければ、東北でも栽培は可能だと考える。まだ作付けできていない農地の有効活用にも意欲を見せる。

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