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[未来人材プラス]祖父の遺志継ぎ 有機野菜産地強化へ 見た目も「こだわり」 鹿児島県姶良市 大田尚人さん(35)

 鹿児島県姶良市の大田尚人さん(35)は、車の営業販売の仕事から転職して亡き祖父の有機栽培の農場を引き継いだ。リーフレタスや小ネギなど幅広い品目を栽培。整然とした農場づくりに力を入れる。県内最大の有機野菜産地である同市で地元を代表する若手農家として「栽培力と販売力の強い産地をつくりたい」と意欲を語る。

 県内で生まれた大田さんは、幼い頃から祖父母が経営する「福留農園」に頻繁に遊びに行っていた。「カボチャのハウスの周囲を駆けっこしていたのが思い出」。ただ「農業をしようとは思わなかった」こともあって、福岡県の短期大学に進学した。卒業後は事務職で車のディーラーに就職。営業も担当するなど、仕事にまい進していた。

 転機は2013年。30年有機栽培を続けた祖父が亡くなり、祖母一人では切り盛りできなくなったことだ。結婚して子どもが生まれた大田さんは「子どもに安全な野菜を食べさせたい。農場を続けないのはもったいない」と一念発起。トラクターにも乗れない状態から、鹿児島県立農業大学校で約1年間学んだ。

 卒業後、管内の農家から教えを受けて技術を取得。ハウスの外周は防草シートで雑草を抑える。害虫防除には、天敵昆虫を駆使する。「見た目は二の次、というのが世間的な有機栽培のイメージ。だが、有機だからこそ、見た目にもこだわりが必要だ」と強調する。

 就農7年目を迎えたが、祖父母がつくり上げた農場の土の力が支えだ。栽培で大きな失敗はなく「2人に感謝している」と話す。屋号を変えるつもりはない。小学3年生になった息子は、トマトやオクラが好物。野菜をおいしそうに食べる姿が日々の活力だ。

 同市は県内最大の有機野菜産地だが、後継者育成が課題だ。大田さんは所属する姶良有機部会で最も若手。「若者を呼び込み、強い産地をつくっていきたい」と語る。

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