新規就農者

[未来人材プラス]母から受け取るバトン 経営の柱担う決意 “悔い残さない”貫く 三重県松阪市 森山祐樹さん(35)

 三重県松阪市の森山祐樹さん(35)は、家族4人で米・麦・大豆の計約100ヘクタールの大規模経営を実践する。経営の柱であるオペレーターとして家業を引っ張る母を見て育ち、23歳で就農。規模拡大しながら徹底した効率化と増収を進め、今は自身が家族の先頭に立つ。来年1月にはオペレーターを引き継ぐ計画だ。

 幼い頃から農業は身近だった。農業高校、農業大学校と進学した後、「一度は他の場所で働いて経験を積みたい」と、農大校で業務補助員として3年間勤務した。

 父・繁さん、母・綾子さん、弟・和歩さんと4人で米・麦・大豆を2年3作し、JAみえなかに出荷する。祐樹さんの就農後、離農者の農地を受け入れるうちに、作付面積は倍以上に拡大した。

 生産方針は、限られた労働力と面積で最大限の収量を得ること。そのため適期作業と、効率的な作業を重視する。常に段取りを考え、1人が複数の作業をスムーズにこなせるよう指示を出す。

 一方で、増収のための手間は惜しまず、自ら率先して作業する。麦では4回に分けた施肥を、大豆では省力的な狭畦(きょうけい)栽培ではなく、中耕・培土を徹底する。

 「収量に結び付くなら疲れていても作業は苦ではない。家族のためにもなる。後悔したくない」(祐樹さん)という性格がうまくはまり、結果にも表れている。大豆の昨年の10アール当たり収量は、地域平均の倍以上だ。県内で高収量を挙げる農家がいると現場を見に行く、熟練農家の意見も広く聞くなど、常に収量を意識しながら、地域との良好な関係づくりにつなげている。

 20年近く務めた母からオペレーターを引き継ぐことに、責任を実感しているという祐樹さん。「いろいろな意見を参考にしながら決めるのは全て自分。家族だけでなく地域からも認められる、誰にも負けない農業を実践したい」と展望する。

三重県農業大学校の詳細はこちら