新規就農者

[未来人材プラス]欧州から新規就農 夫妻でイチジク栽培 いちずな心 実を結ぶ 愛知県西尾市 ヤーンボル・アリズさん(32)

 ハンガリー出身のヤーンボル・アリズさん(32)は、夫の小林淳さん(37)と愛知県西尾市で新規就農した。互いに縁もゆかりもない地でのイチジク栽培だが、研修を経て徐々に栽培面積と売り上げを拡大。昨年から新たに加工品販売へ挑戦するなど、楽しみながら農業に励んでいる。

 日本語を学ぶため、2013年に千葉県の大学に留学したアリズさん。大学で淳さんと出会い、親交を深めた。アリズさんが留学を終えてハンガリーに戻り一時は離れ離れになったが、淳さんがハンガリーに渡って15年に結婚。ただ、共働きだったため、一緒に過ごす時間が減っていった。現地で転職を考える中、「日本に帰る選択肢が出てきた」(淳さん)という。

 仕事を探す中、日本で働いた経験がなかったアリズさんは「日本の会社に合うか不安だった」ため、自営業で生計を立てたいと考えた。淳さんが農業高校出身だったこともあり、農業に引き付けられた。研修を受けられる産地を探す中、愛知県のJA西三河で年間通じてイチジク栽培を学べるスクールがあると知り、夫妻で来日した。

 スクールに通った後、JAを介して農地を確保し、18年から17アールで栽培を始めた。1年目は土づくりで苦労した。ただ、近隣農家の支えもあり定植以降は順調に栽培。2年目には29アールまで増やした。4年目となる今年の売り上げは、過去最高の600万円を見込む。

 品種は「桝井ドーフィン」を中心に、地域で生産者が少ない「ビオレソリエス」「イスキアブラック」なども栽培し、飲食店へ直売する。昨年から加工品も販売。今年は新たにドライイチジクを売り出す。

 日本語の意味に引かれ「ICHIZU(イチズ)」のブランドを名付けた。「大変な時もあるけど頑張った分が自分に返ってきて楽しい」とアリズさんは農業の魅力を語り、故郷を離れていちずに農業へ取り組む。

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