新規就農者

[未来人材プラス]海外生活経て就農 スムージー対面販売 「もったいない」が原点 山梨県笛吹市 森田絵美さん(35)

 山梨県笛吹市の森田絵美さん(35)は、海外生活を経て2014年、実家の桃農園「モリタファーム」に就農した。15年から桃を中心とした果実のスムージーをキッチンカーで販売、廃棄の削減にもつなげている。

 絵美さんはワーキングホリデーで出会ったマットさん(36)との結婚を機に10年、オーストラリアへ移住。硬く小ぶりな現地産の桃を見て、実家で作る桃のおいしさや祖父母・両親の顔が浮かんだ。しばらくして帰国と就農を思い立ち、マットさんも後押しした。

 14年に帰国。同ファームで働きながら、夫妻で市やJAふえふきの農業塾で果樹栽培の基礎を習得。同時に帰国前から構想したスムージーの店を出す準備も進めた。狙いは規格外の桃の活用だ。絵美さんは「祖母が『もったいない』と言いながら選別する様子が頭から離れなかった」と話す。

 だが起業は簡単ではなかった。桃の味や色が落ちない保存方法の確立に苦心。静岡県の先進農家を視察するなど、試行錯誤した。桃以外の材料も「県産にこだわりたい」と、やまなし6次産業化サポートセンターを通して他の農家とつながりを持ち、出店場所はJAや地域住民の協力で複数の拠点を確保した。

 現在2台あるキッチンカーでは桃の他、ブドウやキウイフルーツ、柿など季節に応じて常時6、7種類のメニューを用意する。平日は農作業に打ち込み、出店は主に土・日と祝日。絵美さんは「お客さんの声を直接聞きたい」と、誘いがあれば県外にも出向く。父親の隆文さん(66)は「規格外の果実が収益を生むようになった。スムージーをきっかけに桃の通信販売も増えた」と夫妻の活躍を見守る。

 絵美さんは「農業女子プロジェクト」でも活躍。他のメンバーが育てた野菜を使ったスムージーなどの商品も開発する。次の挑戦を「語学力を生かし、日本の桃を海外に広めたい」と思い描く。

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