新規就農者

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[未来人材プラス]自分のスタイル追求 福島県三春町・宮島清人さん(35)

イチゴ就農1年目で平均収量の3倍達成

 阿武隈山の裾野で中山間地に位置する福島県三春町。Iターン就農したイチゴ農家の宮島清人さん(35)は、山梨県の農業ベンチャーで修業した経験を生かし、就農1年目で地域の平均収量の3倍を収穫した。効率化を追求し、日々奮闘する。

 市街地を抜けると、赤いネットで覆われ、ひと際目立つハウスが現れる。害虫の侵入を抑える赤色系防虫ネットだ。「最新技術はとりあえず試してみたくて」とほほ笑む宮島さんは2020年に就農し、2棟(4アール)のハウスでイチゴを生産する。4品種を生産し、その一つは希少品種のイチゴ「桃薫」。付加価値化を意識する。

 生産はトライ&エラーの連続だ。初年度は有機質肥料を使った土づくりにこだわり、3トンを収穫。2年目は資材を組み合わせ、上下2段の棚を制作。目標には届かなかったが2・5トンを収穫した。

 長野県千曲市出身で、幼少期から自然が好きだった。ゴルフ場の運営会社に就職し、芝を管理した。東京への転勤が決まり胸を躍らせたが、代わり映えのない日々に、自分のやりたいことは何か、自問するようになった。思い出したのは祖父が作るトマトの味だった。「甘くてこくがある。体を使い、成果が目に見えるような仕事をしたいと思った」。地元に戻り、農業法人に転職。17年、法人に紹介された山梨の農業ベンチャーで、イチゴの新規事業を立ち上げた。栽培技術や経営面、雇用の回し方も学んだ。

 独立の場を同町に選んだのは、親戚がいたことと、三春町新規就農者応援給付金など、町の独自支援が充実していたからだ。空き家と畑の距離が近く、管理しやすいのも魅力的だった。

 イチゴは農産物直売所や県内の飲食店、ハウスで販売する。「肥料のタイミングや資材の使い方など、確立された方法にとらわれず、自分のスタイルを見つけたい」と宮島さんは前を見据える。

 

▼三春町の移住・定住施策が分かるウェブサイト「みはるぐらし」はこちら。

https://miharu-gurashi.jp/