新規就農者

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[未来人材プラス] ハウスミカン軸に 家族でIターン就農 仲間と名産地めざす 大分県佐伯市 永田祐介さん(33)

 大分県佐伯市の永田祐介さん(33)と妻・華香さん(27)は、2018年に福岡県から移住して就農した。佐伯市では20年ぶりとなる新たなかんきつ農家だ。23年の収穫まで、JAおおいた関連施設などで臨時職員として働き、技術を磨く。同時期に新規就農した仲間と「地元をハウスミカンの名産地にしたい」と意欲を見せる。

 祐介さんは一般企業に就職したが、農業の夢を捨て切れず、1年で退職。福岡県農業大学校に入学した。卒業後、糸島市の農園で就農。16年に結婚し、子どもが生まれたことで独立を決めた。

 選んだのは佐伯市。決め手は「支援の動きの早さ」だ。住居などの受け入れ体制も1年以内に整った。基盤整備事業やJAのハウスリースなど、JAと行政が一体となった支援も大きかった。夫妻は「両親から『移住を不安に思う』と言われていたが、支援体制や立地で納得してもらえた」と話す。

 就農する米水津地区を含めた同市では、JAや行政の勧めもあって2人を含めた4組が20年ぶりにハウスミカンで就農した。かんきつを担当するJAの服部和幸係長は「管内は農家数の減少が課題だった」と指摘。「祐介さんたちには産地のリーダーになってほしい」と期待する。

 華香さんは市のファーマーズスクールで研修。祐介さんは県試験場などで臨時職員として働いた。およそ2年間、それぞれ別の環境で知識や技術を身に付けた。

 習得した技術を生かす。管理しやすいように樹高はできるだけ低くする。植樹は周囲の農家が3メートル間隔にする中、4メートル間隔にするなど工夫。「1本の木で多く収穫する。そのために、横に広げる」と狙いを明かす。試験場での知識を生かし、ハウスミカン「宮川早生」20アール以外に露地60アールで中晩かんなども育てる。「JA出荷のハウスミカンを軸に経営を安定させ、さまざまな品種に挑戦したい」と意気込む。

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