新規就農者

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[未来人材プラス] 東日本大震災機に帰郷 格闘家志望から転身 地域活性化をけん引 徳島県阿波市 湯藤哲也さん(36)

 徳島県阿波市でブロッコリーとナスを栽培する湯藤哲也さん(36)は、千葉県からUターンして就農した。プロの総合格闘家を目指す中、東日本大震災をきっかけに地元に戻ることを決断。経営規模の拡大を進め、JAあわ市青壮年部の部長として、イベントなどを通じて地域を盛り上げるため尽力している。

 レスリングのスポーツ推薦で進んだ、山梨県の大学を卒業した。一度は徳島に戻り、警備員の仕事などに従事した。しかし、プロの総合格闘家になる夢を捨てきれず、千葉へ移住した。

 そこで2011年3月の東日本大震災を経験。妻に子が授かる中、水や食料など生活必需品の確保が困難な状況に陥った。「妻の体や子どもの健康を考えたとき、このままでは怖い」と、地元へ戻ることを決意した。

 4月に帰郷し、すぐに農業を始めた。親や地域の農家に一から教わり、栽培技術を習得した。湯藤さんは「田舎では地域ぐるみで面倒を見てくれる。横のつながりの濃さが魅力」と振り返る。

 現在、ブロッコリー4ヘクタール、ナス12アールを栽培する。ブロッコリーは就農当初に比べて面積は2倍に拡大。営農する農地のほとんどは、高齢で引退した農家から請け負った。農業は手を掛けた分、成果として表れるところが楽しいという。

 就農時よりも気候が大きく変化したと感じている。近年は春に定植すると、病気が多発するようになった。しっかり防除しても、収穫量が半分以下のときもある。今年からリスクのある春作を大幅に減らし、冬場の栽培を強化するなど試行錯誤する。

 昨年度からJA青壮年部の部長を務める。小学校を訪ね、田植え体験などの食農教育やマルシェなどイベントも企画。地域活性化に向けた活動に取り組む。今後は新たな品目の栽培に挑戦し、ブランド化を目指すなど、「地域の活性化をけん引したい」と意欲的だ。

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