新規就農者

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[未来人材プラス]4人の子育てと両立 レタス、キクラゲ栽培 女性の働く環境整備 福岡県久留米市 宇佐川美奈さん(37)

 福岡県久留米市の宇佐川美奈さん(37)は、パートをやめ、子育てをしながら未経験の農業に飛び込んだ。軽量で女性が扱いやすいリーフレタスを選択。40アールから始めて、今は従業員を雇い、延べ12ヘクタール以上を作付ける大規模農家に成長した。キクラゲ栽培にも手を広げ、女性ならではの視点を生かし、農業の道を切り開いている。

 同県八女市のサラリーマン家庭に生まれた。19歳で久留米市の花き農家出身の夫と結婚。当時、夫は勤め人で、農家になる意識はなかった。農業を始めたのは27歳。3人の子どもを育てながらパート勤めの日々を送っていた時、義父に勧められ「軽い気持ちで始めた」。

 始めは失敗の連続だった。種をまく時期を間違えてしまったり、軽トラックの車輪が水路にはまったりしたこともある。部会の講習では「畑をすく(耕うんする)」の言葉の意味すら分からなかった。だが、先輩に助けられて徐々に技術を習得していった。

 子どもを畑に連れ、農業と育児に追われる日々。転機は就農3年目、4人目の出産だった。体が思うように動かなくなり、パートを雇い始めるようになった。持続可能な経営の視点から、農業を見詰め直した。「始めはがむしゃらで全て一人でやっていたが、体がついていかなくなった。前年に就農した夫に農作業を任せるのが悔しくもあった」と、振り返る。

 現在の労働力は、従業員2人とパート3~9人。外国人実習生1人。

 通年雇用に向けて、今年からリーフレタスの端境期に当たる夏場にキクラゲの栽培を始めた。遮光したハウス内で生産し、日中でも比較的涼しく作業できる。夏野菜は暑さを避けて早朝に作業することが多いが「女性のパートにとって朝は家事などで忙しい時間」として、女性が無理なく続けられる農業を目指す。

宇佐川さんが活用した農水省の青年就農給付金(現・農業次世代人材投資資金)の詳細はこちら