新規就農者

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[未来人材プラス]Jリーガーから転身 体づくりの経験生かす スポーツ×農 懸け橋に 広島市・岡崎和也さん(30)

 プロサッカー選手から農家に転身した広島市の岡崎和也さん(30)は、若者に農業の魅力を伝えながら地域農業の盛り上げ役を担う。現役時代は野菜の多い栄養バランスを考えた食事など、食からの体づくりに努めた経験からスポーツと農業をつなぐ懸け橋役も目指し、アスリートの第二の人生を農業に導いていく。

 小松菜など葉物野菜を栽培する岡崎さんは、生まれも育ちも同市。サッカー漬けの日々を過ごし、高校時代は全国大会でベスト8に。2010年にサッカーJ2の「ファジアーノ岡山」に入団。16年から広島の社会人チームでプレーし17年に現役引退した。

 就農のきっかけは、岡山時代の行きつけだったイタリア料理店。「農家が届ける野菜の美しさに衝撃を受けた。素晴らしい野菜を作る農家に尊敬の気持ちが湧いた」と目を輝かせた。引退後にやりたいことを考えた時、農業が頭に浮かんだ。

 小さいころは、祖父母の田で収穫を手伝うなど、農業と関わった。農水省で働く親から就農支援制度などの助言を受け、就農を決断した。

 17年から同市が実施する新規就農者の育成事業の研修で、葉物野菜の栽培や農業経営などを学んだ。18年4月に「阿戸の和農園」を開園。ハウス10棟30アールで就農した。

 今はパート7人を雇い、15棟45アールで野菜を栽培する傍ら、地域農業を盛り上げる活動にも積極的だ。小学校の収穫体験や中学生の職場体験などを受け入れ、若い世代に農業の魅力を伝える。

 就農5年目を迎え、「サッカー選手は農業に向いている。体が丈夫で夏場の農作業に耐えられる」と実感する。現役時代は、どんな栄養素が体づくりに必要なのかを学び、食からの体づくりを意識した。これまでの経験を生かし、アスリートの栄養管理などにも取り組んでいく。「見本となり、農業を選手のセカンドキャリアとして導きたい」と笑顔を見せた。
 

岡崎さんが研修した“ひろしま活力農業”経営者育成研修のウェブサイトはこちら