新規就農者

新規就農者

[未来人材プラス]「地域守る」思いは同じ 警察官から農家に 人の輪が活動支える 茨城県茨城町・斉藤卓也さん(37)

 茨城県茨城町の斉藤卓也さん(37)は、警察官からUターン就農し、農家として地域や食を守る。農福連携や人とのつながりを生かした廃校でのマルシェ開催で地域の活性化にも貢献。第60回全国青年農業者会議の地域活動の部門で農水省経営局長賞にも輝いた。

 アイガモ農法の米や麦・大豆を中心に、ベビーリーフやエダマメなどを計15ヘクタールで栽培する。こうじやみそも販売する。地域の担い手として、農地中間管理機構(農地バンク)などを通じて離農する農家の農地も借り受ける。

 農家の長男だったが「休みがないなど大変なところを見ていたので、農家になるつもりはなかった」という斉藤さん。茨城大学を卒業後、茨城県警に就職した。ただ想像以上に仕事が忙しく、自身の食生活が乱れた。休みに実家を手伝う中で、改めて食べ物を作る農業の魅力を実感。2008年に実家を継ごうと決意した。その後2年間、昼間は父と農作業に励み、夜は県農業大学校が開く営農塾で、作物の生態や生理などを学んだ。

 自身の営農に加えて地域貢献にも精を出す。直売向け大豆の選別作業を地域の社会福祉施設に委託し、農福連携を実践。17年から廃校を生かしたマルシェ「HAERUマーケット」を、若手農家でつくる「茨城町4Hクラブ」の仲間と開く。

 幅広い取り組みを支えるのは、人とのつながりだ。「誰か一人とつながると、どんどん広がる」と話す。社会福祉施設と連携した際は自ら連絡を取り、マルシェにも参加を呼びかける。一般に貸し出した前例がなかった廃校の使用も、町農業政策課からの後押しで実現した。

 「農業も忙しいが、作った農産物を待っている人がいることが魅力」と斉藤さん。「その人たちに届け続けられるよう、気候変動などがあっても安定生産できる技術を磨きたい」と話す。

茨城町を管内とする水戸地域農業改良普及センターの就農支援活動などが分かる「リアルタイム現地情報」のページはこちら