新規就農者

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[未来人材プラス]夏トマト、冬スキー場で「好き」を仕事に 地域支える半農半X 岐阜県飛騨市・柿澤亮太さん(35)

 岐阜県飛騨市の柿澤亮太さん(35)は、夏秋トマトを栽培しつつ冬はスキー場で働く「半農半X」を実践する。妻の夏実さん(31)と、JAひだ飛騨地域トマト研修所で学び、夫婦で移住・就農した。スノーボード用ハーフパイプの造成を手がける国内でも数少ない人物で、夏も冬も、地域の産業を支えている。

 亮太さんは神奈川県出身。夏実さんとはスノーボードが縁で出会った。亮太さんは山梨県の屋内ゲレンデを拠点に、ハーフパイプの造成や整備を担っていた。ただ、好きが高じて始めた仕事だけに、収入は二の次。特に夏場の収入には苦労したという。亮太さんは夏は果樹農家で働き、ボード仲間の中にはトマト農家もいた。話を聞いて「農家ってもうかるんじゃないか」と思った。

 インターネットでJAひだの研修制度を見つけ、すぐ見学に行った。支援が手厚く、担当者の人柄も良い。岐阜県には毎年ハーフパイプ造成に訪れていて、なじみもあった。夏実さんと2年間の研修を受け、2021年に夫婦で就農した。

 雨よけハウスは苗床を含め8棟ある。栽培面積は25アール。地域の人の協力でアーチパイプを運び、設置はほぼ一人で行った。夏実さんとは完全分業で、ハウスに来る時間、作業する場所、帰る時間も別だ。流す音楽も。「互いのペースがあり、得意な作業も違う。一人で作業する方が自分たちに合っている」と亮太さんは話す。

 夏実さんは大の動物好きで、移住を機に念願の犬を飼い始めた。家には、7種類15匹の動物がいる。地域の人は皆、温かく迎えてくれ、夏実さんは「飛騨に来てよかった」と話す。

 就農1年目の誤算は「予想よりも夏の仕事が長かった」(亮太さん)。今年は、雪が降る前に片付けまで終え、すぐに冬の仕事に移る計画だ。「夏の仕事も冬の仕事も両方好き」。だからこそ、満足できる両立を目指す。

 

▼柿澤さんが学んだJAひだ飛騨地域トマト研修所の研修生募集ページはこちら

https://www.ja-hida.or.jp/about/tomato_trainee.php