新規就農者

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[未来人材プラス]理想のワインを追求 長野県上田市・田口航さん(39)

「自然派」心がけ栽培 3000本即日完売の人気
 

 長野県上田市にある小高い丘の一画に、「メルロー」や「カベルネソービニヨン」など約1万本のワイン用ブドウの木が植えられている。栽培するのはワイナリー「セイル・ザ・シップ・ヴィンヤード」代表の田口航さん(39)。「理想のワインを造るためここにやってきた」と語る。

 県内では小規模ワイナリーが続々と誕生している。中でも、注目されている若手醸造家の一人。化学肥料や除草剤を使わずに栽培したブドウを使う「自然派ワイン」を造る。

 2021年に発売した約3000本は、即日完売する人気となった。

 「優しい味わいで、うま味もあるワインを目指している。この地なら質も価格も海外のワインと戦えるものが造れる」と話す声は力強い。
 

 京都のワイナリーで4年働き、独立に向けてワイン用ブドウの栽培適地を探していたときのこと。長野県を訪れた際、JA信州うえだの子会社JA信州うえだファームが翌年から、ワイン用ブドウで新規就農を目指す人を研修生として募集することを知った。

 研修は2年間。栽培や醸造を学べて、2年目には畑を持てる。ワイン用ブドウは定植してから収穫まで3年かかるが、その間、研修生として野菜の収穫などの仕事をすることでJAから給与が保証される。さまざまな支援も受けられる。「国内有数のワイン用ブドウの栽培適地で、独立、就農に必要なものが全てそろっていた」と振り返る。

 上田市でワイン用ブドウの栽培を始めて8年目。3・3ヘクタールで10品種の欧州系ブドウを栽培する。23年度産のワイン造りに向けて、今は剪定(せんてい)作業の真っ最中だ。現在は委託醸造だが、24年には醸造所が完成する予定。

 「栽培では収量が上がるように、醸造では理想のワインになるように毎年改良を重ねている。手頃な価格で高品質のワインを造っていく」と力を込める。

 

▼田口さんが研修を受けたJA信州うえだファームのウェブサイトはこちら。

https://shinshuueda-farm.com