新規就農者

新規就農者

[未来人材プラス]早めの着手が強みに 兵庫県朝来市・久洋平さん(28)

“お試し移住”で基盤 特産「岩津ねぎ」担う
 

 兵庫県朝来市で特産の「岩津ねぎ」を生産する久洋平さん(28)は新卒で就農した。大学休学中の“お試し移住”で人脈や技術などの基盤を固め、住居や農地をスムーズに確保した。

 きっかけは大学のサークル活動だ。夏野菜を栽培し、収穫できたのはキュウリ1本だけ。この経験が強く印象に残り、農業に興味を抱いた。

 就職活動を目前に控えた2016年秋、休学し、現場で農業体験する決意をした。「農業が自分に合うか分からなかったから、他の仕事に就くことも考えて、新卒という肩書は残したかった」

 「ふるさとワーキングホリデー」制度で朝来市に出合った。「岩津ねぎ」の収穫を手伝った後、「農産物の生産過程を一から経験したい」と、先輩移住者の紹介で農地を借りた。約1年、思い付く限りの野菜生産に挑戦する中で、農業に本気で向き合う覚悟ができた。

 復学して卒業し、同市に移住した。市の新規就農希望者研修費補助金を受けながら3年間、先輩移住者の下で、野菜栽培を学んだ。21年9月に、国の農業次世代人材投資資金で独立した。農地は地元の人のあっせんで30アール確保し、市の紹介で空き家に入居できた。
 

 現在は「岩津ねぎ」など40アールを手がける。次期作では60アールに拡大予定だ。久さんは新卒での就農について「自身の貯蓄が少ない分、資金繰りには苦労した」と振り返る。一方、移住・営農に早めに着手し、経験を積んだ意義は大きい。暮らしや収入の水準を知り、技術を勉強できた。移住した新規就農者が陥りがちな、思いと現実とのギャップに悩まずに済んだ。

 22年には地域の若者を集めてマルシェも開催。普段JAに出荷する久さんは「消費者の顔が見えた。生産にもっと注力し、高品質なものを届けたい」と意欲的だ。

 

▼朝来市を含む兵庫県内の市町ごとの就農支援情報を掲載したウェブサイトはこちら。

https://www.yume-hyogo.com/job/ct-farm/