新規就農者

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[未来人材プラス]原木シイほれ込み 移住呼び掛け人担う 持続可能な里山共に 京都府南山城村 山田一貴さん(38)

 京都府南山城村で原木シイタケを周年栽培する山田一貴さん(38)。「キノコノ山田」を立ち上げて8年目。歯応えが良く、焼いても縮まないシイタケが評判だ。原木は地域で協力して山から切り出し、持続可能な里山の仕事の一端を担う。村の「移住呼び掛け人」の一人として、魅力や経験を伝える。

 愛知県の会社員の家庭で育った。「農業に近い現場、食に携わりたい」と農学部を卒業後、青果卸に就職。東京のかん水資材メーカーで働いていた時、茨城県の農家にもらった原木シイタケのおいしさに感動した。

 栽培に興味を持ち、週末には手伝いに通うほどのめり込んだ。「原木を動かす力仕事やフォークリフトの操作は市場での荷役作業に似ている」。自分に合うと感じた。

 関東で独立就業を計画していた。だが、研修開始直後、東日本大震災が発生して状況が一変。新たな独立先を探した。

 種菌メーカーの知人から紹介を受け2013年1月、夫妻で村に移住。自伐で原木を確保できる環境が決め手だった。生産者、村の移住担当者とつながり、ビニールハウスも家も見つかった。

 早速、出荷シーズンだったJA京都やましろの出荷場に通った。いつの間にか多くの人と仲良くなった。機材は中古、ネットオークションなどで調達。村の支援制度も活用した。栽培は自然環境にある程度任せる方法で出費を抑えた。その年の秋から出荷を始めた。

 2アールのハウス1棟を使う。毎年5000~6000本を植菌、キクラゲも栽培。JAやセット野菜の宅配業者、道の駅、直売所などに出荷する。

 経験を生かして今夏は自動かん水装置を自作。ハウス内の室温のピークが平均5度下がり、収量アップにつなげた。「アイデアが現場で生かせて面白い」。消費者とのつながりを大事に「コロナが明けたらシイタケ狩りや交流を再開したい」と意欲を見せる。

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