新規就農者

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[未来人材プラス]大都市から牛舎を移転 団地で規模拡大へ 大阪・酪農の先頭走れ 大阪府堺市・奥山恭平さん(34)

 大阪府堺市の奥山恭平さん(34)は、府内の酪農業をけん引する若手の一人だ。元々、大阪市唯一の酪農家として、地下鉄駅の目と鼻の先にある住宅街で都市酪農を営んでいたが、規模拡大に向けて4年前に移転した。「大阪の酪農を盛り上げたい」。決意を胸に突き進む。

 大阪市平野区で生まれ育った。実家は市内で唯一の酪農家。地下鉄の駅から徒歩10分ほどの住宅街で乳牛60頭を飼っていた。「牛舎の隣にマンションが建っていた。都市農業で野菜を作ることはあっても、酪農はめったにないと思う」と話す。

 小学生の頃から牛の世話をしていた。餌やりや搾乳、牛舎の掃除などを日々手伝ううちに、代々続く家業を継ごうと考えるようになった。

 府内の農業高校を卒業後、北海道の帯広畜産大学に進んだ。酪農の基礎を2年間かけて学ぶ同大学別科で“酪農漬け”の日々を送った。「酪農王国の北海道でも、大阪で酪農をしていると話すと驚かれた」と笑う。

 21歳で親元就農すると、大学での経験を生かし、搾乳方法の改善など経営の合理化を進めた。

 だが、就農して10年を前に経営の“天井”が見えた。周りに住宅街が広がる立地では牛舎の新設も難しく、経営拡大に限界があった。そんな時、隣の堺市にある堺酪農団地から誘いを受けた。

 30歳の時に一念発起し、大阪市から堺市に移った。日本政策金融公庫から1億5000万円の融資を受け、離農者から借り受けた牛舎を改築し、乳牛も80頭に増やした。

 堺酪農団地では現在、11戸の酪農家が乳牛750頭を飼養する。堺市畜産農協の寺本浩之参事は「奥山さんは団地内で最年少。若手の見本として今後も頑張ってほしい」と期待を寄せる。

 今後は団地内の空き牛舎も活用し、一層の規模拡大を進める方針だ。「団地を引っ張っていく存在になりたい」。力を込める。

奥山恭平さんが入学した帯広畜産大学別科の概要はこちら